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AWA(OUR)サポートシステム

あなたの研究!輝く未来のために ~研究者支援・徳島大学AWA(OUR)サポートシステム~

2012年12月11日に、AWA(OUR)サポートシステムの1つ「研究支援制度」を利用している研究者5名と、徳島大学学長、徳島大学理事、そしてAWAサポートセンター長、副センター長にお集まりいただき、女性研究者の現状やAWAサポートシステムの様々な支援制度と今後の取り組みについてお話しを伺いました。

 ★参加者         

香川    征  徳島大学 学長

岩川  雅士  徳島大学 理事(総務・財務担当)/徳島大学副学長

          徳島大学男女共同参画推進室長

本仲  純子  徳島大学AWAサポートセンター センター長/特任教授(前センター長)

山内 あい子 徳島大学AWAサポートセンター 副センター長(現センター長)

                         徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 医薬品情報学分野 教授

阪間     稔 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 放射線理工学分野 准教授

佐々木千鶴   徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 バイオマス資源分野 助教

石澤    有紀 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 薬理学分野 特任助教

奥村    仙示   徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部

                         臨床栄養学分野 プロジェクト助教

工藤 景子      徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔外科学分野 助教 

 

★座談会で話し合われたこと                            

 ●研究者支援制度

 出産・育児等により研究時間確保が困難な研究者に研究支援員を配置するこの制度は、利用者にとても好評で、各々の研究者より「育児で研究を途中で中断したり、研究活動を諦めたりしないで、研究補助業務を気兼ねなくサポートしてもらい研究結果を出すことができた。」「三つ子の誕生で大変だったが、この制度を利用することで、子育てと研究のバランスを取りながら、研究活動を続けることができる。」「研究のサポート制度は、限りある時間が確保できるのでとても助かる、この制度がなければ働き続けることを断念していたかもしれない。」との感想が述べられた。子育て中の研究者にとって、研究の継続には、育児と研究時間をサポートしてくれることが大変重要だと話合われました。現在は、[平成22年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業]として採択され実施していますが、「今後も研究支援制度については、引き続き実施していきたい。」と学長が語られました。また、研究者より「支援員である大学院生が研究者のサポートを行うことで、自らの研究モチベーションアップとなって、支援員も学会発表に取り組み、研究者としての育成にも繋がった。」と述べられました。この制度は、研究者支援のみならず、未来の研究者育成も担っている制度として、成長しています。

 ●女性研究者の育成と研究活動の継続

 女性研究者の中には、結婚や出産を考え、研究員になることを最初から諦めている人や、サポートがなく、途中で退いてしまった現実があるようでした。実際にサポートを受けている研究者は、「このサポートがなければ続けることができなかったかも・・・」と、AWAサポートシステムの必要性を述べられました。また、若手研究者の育成や研究の活性化のために導入された現在の任期制については、育児と両立しながら必死に頑張って、子育てがひと段落して、さあ、これからやっと研究に集中できるという時に、任期が満了となってしまう不安があると語られました。これに対して理事から、雇用の安定を図ることを目的とした労働契約法の改正ルールが来年4月から適用されることに伴って、大学においても、任期付教員の雇用の在り方について検討しているとの説明がありました。

 ●女性研究者への期待

 少子化、高齢化については回復の兆しがなく、持続可能な社会の実現のためには、国力を元気にする女性のパワーが必要であると学長が述べられました。研究を続けている人のほとんどが「ロールモデルが必要」と答え、ロールモデルを見つけることの必要性、そして自らロールモデルになることの重要性も話し合われました。「今は感謝して多くの手助けを受け、将来は自分たちが還元していきたい。」と研究者の皆さんが述べられました。

 

★インタビュー                                     

 香川 征 学長

今後も、AWA(OUR)サポートシステムの研究支援制度や異分野間の研究交流や共同研究を促す取り組みなど、大学としてもできるだけ応援して、女性研究者のサポート体制を継続していきます。また、AWAベビーシッター制度など、育児支援については、大学全体で取り組み、地域との連携等を円滑に行い、支援の輪を拡げていきたい。これからも、徳島大学における女性研究者の活躍に大いに期待しています。

 岩川雅士理事

研究者にとっては、お金の補助より時間の援助に魅力を感じている方が多いようです。研究成果をだし、キャリアを構築するために、育児と仕事の両立という過酷な時を乗り越えて現在にいたっておられます。そのためにこれらの支援制度が大いに役立っており、システムの重大さを感じています。今後もセンターの熱意を持った取り組みに期待しています。

 本仲純子 センター長(前センター長)

3年間の[平成22年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業]は終わりますが、立ち上げ構築したシステムについては、維持するだけでなく、皆さんの意見や要望を参考に、より働きやすい環境を作ることが必要だと考えています。全職員が働きやすい環境となり、男女共同参画社会のメリットを実感できるよう、システムを発展させていきたいと思います。

 山内あい子 副センター長(現センター長)

本学における女性研究者の在職率が、現段階で19.2%まで上がったのは、この取り組みがあったからだと実感しています。ベビーシッター制度における養成講座では、他大学や一般参加者も多く、地域への貢献もこのセンターでは担うことができました。さらに、地域との連携を進められる制度の構築を目指します。そして多くのロールモデルが作れるよう尽力したいと思います。

 

★AWAサポートシステム~支援制度の3つの柱~

 ●研究支援制度                            

出産・育児等により研究時間確保が困難な教員を対象に、当該教員の指示の下で研究補助業務に従事する研究支援員を配置する制度です。

〈対象〉徳島大学の教員(特任教員を含む)。妊娠・出産・子育て中の研究者および本学研究者である配偶者

 ●AWAベビーシッター制度

子育て世代の育児と仕事や研究活動の両立を支援するため、育児支援者となるAWAベビーシッターを養成し、徳島ファミリーサポートセンターと連携して、ベビーシッターの提供を行う育児支援制度です。                  

〈対象〉徳島大学教職員・本学大学院生

 ●メンター制度

女性研究者の就業継続やキャリア形成の支援として、女性研究者(メンティー)が抱える諸問題について経験豊かな先輩研究者(メンター)から指導・助言を受けることができる制度です。                  

〈対象〉徳島大学女性研究者および本学女性大学院生

 

 ★「私たち研究支援制度を利用しました!」

ー質 問ー

①研究支援員制度やAWAベビーシッター制度等を利用して得た研究成果や、働く上で役立ったこと。

②研究者としてのvision。

 

●石澤有紀 (子ども2人/5歳・0歳)

①私は、AWAサポートシステムをフルに活用させていただいています。初年度は支援員の方に、研究の立ち上げから体調不良時の実験まで助けていただき、今年度は所属の大学院生の支援員に産休・育休中も実験をお願いできました。その分私は国際学会での発表や論文執筆、子育て等に時間を割くことができました。出産前の体調不良時には休憩室を利用させていただくなど大変助かっています。

②まずはアメリカ留学で世界の先端の研究を学び、帰国後は自分の「売り」となる研究を見つけ究めていきたいです。同時に研究・教育を通じて自分の所属する組織や社会に貢献できる人を目指したいと考えています。

 

●工藤景子 (子ども3人/2歳)

①臨床系の教室に所属しているため、「臨床」「教育」「研究」の3つを担う必要があります。さらに家庭では2010年に3つ子を出産したため、家事・育児に費やす時間が必要です。1日24時間しかありませんが、「研究支援員制度」を利用させていただくことにより、研究の一部を助けて頂いているので、時間の足りない分を十分に補っていただいています。本当は、3つ子を妊娠した時に「続けられないかも」と思ったのですが、この制度のことを聞き、現在も続けることができています。

②「仕事」と「家庭」の両立できる環境にいることは「幸せ」なことであり、支えて下さる人たちに「感謝」しなければいけないと常々感じています。将来、この恩に報いることを目標に研究成果をあげたいと思います。

 

●奥村仙示 (子ども2人/9歳・5歳)

①私の子どもが小さい頃は、このようなシステムがなく、夫婦ともに県外出身ということもあり、両親に助けてもらうこともできなくて本当に大変でした。現在は、研究員支援制度により、データの入力作業や調べものなど、限られた時間の中で行いづらい仕事を依頼できるので、興味のある研究に時間を使えるようになり仕事がより円滑に行えるようになっています。このようなシステムは育児中の女性にとってとても嬉しいシステムだと思います。

② 長期的には仕事を継続し、短期的には目の前の事に全力で取り組む。「何を、どのぐらい食べれば、何故いいのか?」という事を、最先端の方法で解き明かし、わかりやすい言葉で普及させたいと思っています。

 

●阪間 稔 (子ども 2人/8歳・4歳)

①昨年は妻がこの制度を受けており、今年度は私が受けさせてもらっています。具体的な成果としては、私の専門である誘導結合プラズマ質量分析による元素同位体比測定などのデータ解析が挙げられます。これら手法は、多試料測定と継続的な精度管理測定が重要で、育児等で中断を余儀なくされる時の支援員による実験補助で、貴重な実験データが得ることができ、国際学会で研究発表を行うことができました。

②研究分野によっては流行や人気、優先などがありますが、自分が心底興味を抱いている研究や実験に没頭すること、それとその成果を全世界の人たちに論文のかたちで発信し続けることができるようにしたいと思います。

 

 ●佐々木千鶴 (子ども1人/0歳)

①産休に入る直前から、研究支援員制度を利用させていただいております。まだ子どもが小さく、6時には帰らないといけないので、「あとお願いね」と気軽にお願いできる環境は、限られた時間の中で仕事を片付けるために大変助かっております。任期はあと4年ありますが、成績が左右するので時間の援助は今後も続けていただきたいです。

②「子育て等で大変なのは、一時だけでずっと続くものではない。」と何人もの働く女性がおっしゃっています。周りの人の手を借りて乗り越えながら、今後も研究活動を続けて行きたいと考えています。また、私自身ドクターの学生から相談されることもあり、自らロールモデルとなれるよう積極的に家庭と仕事の両立に取り組んでいきたいと思います。

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