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徳島大学は、2009年に「男女共同参画室」を設置し、同年12月に香川征元学長により「徳島大学男女共同参画宣言」を行いました。宣言にありますように、すべての構成員一人ひとりが高い意識を持って、男女互いの人権と人格を尊重し、女性も男性も誰もが個性と能力を発揮できる環境を形成していかなければならないと考えております。その1つの施策として、2010年7月には男女共同参画推進本部を置き、10月には様々な取り組みの実施母体として「AWAサポートセンター」を開設しました。
ところで、本年4月には女子大学初の工学部が奈良女子大学に誕生しました。再来年には、お茶の水女子大学においても「共創工学部(仮称)」の新設が計画されています。初代奈良女子大工学部長のお言葉に、男性はかっこいいものを目指すが、女性は「誰に役立つか」「環境への負荷をいかに抑えるか」ということを考える傾向があることに気づかれたそうです(読売新聞2022年5月29日付記事)。SDGsが全世界の目標となっている現代は、男性だけではなく女性も多様な学術分野に関わり、女性ならではの想像力、発想力を男性と共に結集し、SDGsの達成に力を尽くすことが欠かせないと考えます。身近な自動車1つをとっても、機械としてのクルマは男性主体で作っていることが多いかと思いますが、かたや内装では女性が主体的にデザインや素材の選択に関わり、使いやすく美しく、そして居心地の良い車内デザインに成功している例があります。そのことがひいては人々に寛ぎを与え、安全安心な移動にも寄与すると期待します。
さて、徳島大学のAWAサポートセンターの活動は国の省庁においても広く認められ、ここでは詳細に述べることは割愛させていただきますが、2014年度から連続して多数のダイバーシティー環境整備に関する支援事業に採択されるという実績を誇っています。特に、2018年度には徳島大学を代表機関に、四国の4国立大学法人、徳島県立工業技術センター、同農林水産総合技術支援センター、さらにアオイ電子株式会社(香川県高松市)、協和株式会社(大阪府高槻市)を共同実施機関として採択された、「文部科学省平成30年度科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型:2018〜2023年度)」は、産官学が協働して四国地域の女性研究者の活躍促進を牽引する画期的な取り組みです。
諸外国と比較しますと、未だわが国には女性の理工系人材が少なく、大きな課題です。幼年期には男女問わず理科や算数に興味を持つ生徒さんが多いのに、長じて文系理系に分かれその後の進路が定まってしまうことはとても残念に思われます。社会のアンコンシャス・バイアスへの気づきとその抑制に加え、産業界や自治体と連携して本学も多様なキャリアパスを教職員に提示し、ダイバーシティに対応し得る働きやすい職場づくりと支援に努めてまいります。関係各位におかれましては、ぜひご支援・ご協力のほど、宜しくお願い致します。